海外向けに商品を販売する「越境EC」が注目を集める中、売上の受け取りや仕入れ先への送金に悩む方も多いのではないでしょうか。
特に、高額な海外送金手数料や不利な為替レートは、利益を圧迫する大きな原因になります。
そこでおすすめしたいのが、Wise(旧TransferWise)という国際送金サービスです。
Wiseを使えば、現地通貨での売上受け取り・低コストでの送金が可能になり、越境ECの資金管理がぐっとラクになります。
この記事では、越境ECにWiseが向いている理由やShopifyとの連携方法、活用事例まで詳しく解説します。
海外展開を考えている方は、ぜひ最後までチェックしてみてください。
越境ECと海外送金の課題とは?
越境ECは日本の商品を世界中の顧客に届けられる魅力的なビジネスモデルです。
しかし、実際に運営を始めると、海外送金や資金回収にまつわるさまざまな課題が見えてきます。
このセクションでは、越境ECでよくある資金の流れと、送金に関する注意点を解説します。
越境ECで必要となる資金の流れとは?
越境ECでは、以下のような資金の流れが発生します。
- 顧客からの代金受け取り(多通貨)
- 仕入れ・製造・配送にかかる支出
- 海外パートナーや代行業者への報酬送金
- 現地広告・マーケティング費の支払い
特に、複数通貨を扱う場合、各国からの入金・送金・換金の流れをどう設計するかが鍵となります。
これを適切に設計しないと、為替差損や高額な手数料、遅延によって利益が大きく減ってしまうこともあります。
たとえば、アメリカ・シンガポール・オーストラリアから売上がある場合、それぞれの通貨で入金された資金をどうまとめて日本円で受け取るか、という点が重要です。
銀行送金の課題(高い手数料・着金の遅れ)
日本の銀行経由で海外から入金を受けると、以下のような課題が発生します。
【課題1:手数料が高い】
- 海外送金時の受取手数料(2,000〜5,000円前後)
- 中継銀行による追加チャージ(3,000円前後)
- 為替レートの上乗せ(スプレッド)
これらを合算すると、1件の取引で5,000円以上のコストが発生することも珍しくありません。
【課題2:着金までが遅い】
- 海外送金はSWIFTネットワークを経由するため、着金まで2~5営業日かかる
- 時差・祝日・銀行休業日による影響を受けやすい
販売後すぐに資金を確保したい事業者にとって、キャッシュフローが不安定になる大きな要因になります。
為替レートと利益圧迫のリスク
越境ECでは、為替の影響による損益ブレも無視できません。
【具体例】
- 商品を$100で販売 → 日本円で受け取る際、為替が1ドル=145円から138円に下がると、700円の損失
- 利益率が10%のビジネスでは、この為替差損で利益がほぼ消える
為替レートの変動はコントロールできないため、できるだけスプレッドの少ないサービスを利用することが重要です。
また、多通貨口座を使って「タイミングを見て日本円に換金する」という戦略も有効ですが、日本の銀行では対応していないことが多く、サービス選定が必要です。
Wise(ワイズ)とは?仕組みと特徴を解説
Wise(旧名:TransferWise)は、海外送金・国際決済を格安かつスピーディーに行えるフィンテックサービスです。
特に越境ECとの相性が良く、個人・法人問わず利用者が急増しています。
このセクションでは、Wiseの基本的なサービス内容や、他の決済・送金手段との違い、越境ECでの活用理由を詳しく解説します。
Wiseの基本サービスと特徴
Wiseは、「本当の為替レート(ミッドマーケットレート)」で国際送金ができるのが最大の特徴です。
一般的な銀行やPayPalが為替に上乗せしたレートを使うのに対し、Wiseはレートに上乗せがないため、コストを大幅に削減できます。
主な特徴:
- 世界160以上の国と通貨に対応
- 本当の為替レート+透明な手数料
- 法人アカウント対応(ビジネス用口座あり)
- マルチカレンシー口座で海外からの入金も管理可能
- Wiseデビットカードの発行(特定の国)
例えば、アメリカからの売上をUSドルで受け取り、為替状況を見て日本円に換金するなど、柔軟な資金管理が可能です。
他の送金サービスとの違い(PayPal・銀行など)
Wiseは、銀行送金やPayPalと比較して手数料が圧倒的に低い点が大きなメリットです。
以下に主な比較を示します。
サービス | 為替レート | 手数料 | 着金スピード | 受け取り通貨の選択 |
---|---|---|---|---|
Wise | 実勢レート | 安い(明示) | 1〜2営業日程度 | 多通貨対応(USD/EUR等) |
銀行 | 上乗せあり | 高い(非透明) | 2〜5営業日 | 円のみが多い |
PayPal | 上乗せあり | 受取手数料+為替手数料 | 即時〜1日程度 | 円換算またはPayPal内残高 |
PayPalは利便性が高い反面、為替レートと手数料が不透明で割高。
銀行送金は信頼性はあるものの、手数料が高額で着金が遅くなる傾向があります。
Wiseは低コスト・高速・透明性の3拍子が揃っており、特に売上が増えると手数料の差が大きな利益差に直結します。
越境ECにWiseが選ばれる理由
Wiseが越境EC事業者に支持されているのには明確な理由があります。
【1】マルチカレンシー口座(Wise Business)
- USDやEUR、GBPなど主要通貨での受け取り専用口座(アカウント情報)を持てる
- 海外のプラットフォーム(Amazon.com, Shopify, Etsyなど)から現地通貨で直接入金を受け取れる
【2】日本円への両替タイミングを自分で決められる
- 為替レートが良い時に手動で両替できるため、レート損を減らせる
- 両替しないまま保有し続け、現地通貨での支払いにも利用可能
【3】相手側にも口座開設不要で送金できる
- 海外パートナーやフリーランスへの報酬支払いも簡単・安価
- 送金手数料が国や金額に応じて明示されているので、予算管理もスムーズ
越境ECに必要な「複数通貨での売上管理」「柔軟な資金運用」「現地スタッフやサービス業者への支払い」のすべてに対応しているため、EC事業者の送金インフラとして非常に優秀です。
Shopify×Wiseで海外販売をスムーズにする方法
海外販売においては、「どう売るか」だけでなく「どう受け取るか」も非常に重要です。
Shopifyで得た売上をWiseで効率よく管理・入金することで、手数料の節約や資金の可視化が可能になります。
ここでは、ShopifyとWiseを組み合わせることで実現できる、スマートな資金運用術を解説します。
Shopifyの売上をWiseで受け取るメリット
Shopifyのデフォルト決済では、日本円への即時両替や銀行口座への送金に高額な手数料が発生しがちです。
しかし、Wiseを活用することで次のようなメリットが得られます。
✅ Wiseで受け取るメリット:
- 為替手数料が圧倒的に安い(実勢レート+明示的な少額手数料)
- USD、EURなどで受け取り→レートを見て自分で日本円へ両替可能
- Wiseのマルチカレンシー口座で複数通貨の資金を一元管理
- 東南アジア、欧米などのマーケットプレイスや顧客ごとに通貨分散が可能
また、Shopify Paymentsでは米ドル受け取りに制限がある場合もあるため、Wiseを併用することで柔軟な資金戦略が可能になります。
Wiseマルチカレンシー口座の活用方法
Wiseの「マルチカレンシー口座」を使えば、主要通貨ごとの口座番号(IBAN/SWIFTなど)を取得でき、次のような活用が可能です。
📌 活用例:
通貨 | 活用方法 |
---|---|
USD | アメリカの顧客やShopify USA支店からの売上を受け取り |
EUR | 欧州圏向け販売の売上受け取り |
GBP | イギリス市場向け販売の受け取り |
AUD | オーストラリアなど南半球市場からの受け取り |
Wiseの口座番号をShopifyの決済設定に登録することで、現地通貨での入金を直接受け取ることが可能です。
また、日本円に自動で変換されないため、為替タイミングを自分で調整可能なのも大きなメリット。
送金・入金の設定手順(図解付き推奨)
以下に、ShopifyとWiseを連携して入金先を設定する流れをステップで解説します。
✅ ステップ1:Wiseでマルチカレンシー口座を開設
- Wiseアカウントにログイン
- 「口座情報」>「受け取り用通貨」から受け取りたい通貨(例:USD)を追加
- 表示された現地の銀行口座情報(例:Routing Number、Account Number)を控える
✅ ステップ2:Shopifyの管理画面で入金先を設定
- Shopify管理画面 >「設定」>「決済」
- 使用している決済サービス(Shopify PaymentsやPayoneer、Stripeなど)を選択
- 入金口座としてWiseで発行された現地通貨の口座情報を入力
- 保存して完了
✅ ステップ3:Wiseから日本の銀行口座に送金するには?
- Wiseの口座内で「通貨を両替」から日本円を選択
- 両替後、「送金」>「自身の日本の銀行口座」を選択して送金
※Wise内での両替と送金は非常に簡単で、スマホアプリからも操作可能です。
Wiseを活用した海外販売の事例紹介
Wiseは低コスト・高効率な送金手段として、多くの越境EC事業者に支持されています。
ここでは、実際にWiseを活用して成果を出しているビジネス事例を紹介しながら、どのように資金管理や販売戦略に活かされているかを詳しく見ていきます。
アジア向けハンドメイド商品の成功例
ある東京在住のハンドメイド作家は、自作のアクセサリーをShopifyで販売し、**主に東南アジア(タイ・シンガポール・マレーシア)**の顧客をターゲットに展開。
✅ Wise活用のポイント:
- 現地通貨(THB・MYRなど)での受け取りをWise口座で可能に
- 為替タイミングを見て日本円に両替することで利益率を確保
- 小規模でも送料と手数料を最小限に抑えた運営が可能
個人クリエイターならではの柔軟さを活かし、**「現地価格で売る」「現地に近い価格で仕入れる」**といった戦略が功を奏しました。
ヨーロッパ向けセレクト商品の資金効率化例
中小規模のセレクトショップを運営する企業では、フランスやドイツなどのヨーロッパ圏向けに商品を販売。Shopifyと連携し、売上はWiseのEUR(ユーロ)口座で受け取っています。
✅ Wise活用のポイント:
- 欧州圏からの入金をWiseで受けることでEU圏内取引のような感覚で決済
- PayPalよりも手数料が抑えられ、コスト削減に成功
- EUR口座に蓄積した資金をそのまま現地サプライヤーへの支払いに活用
このように、**「受け取った通貨でそのまま支払う」**という流れを作ることで、為替両替コストがゼロになるケースもあります。
少額決済や定期送金に向くビジネスモデルとは?
日本国内の個人起業家が、アジア向けに日本のお菓子・雑貨を月額制で販売する定期便ビジネスを展開。購入者からの少額入金を毎月まとめてWiseで受け取り、月末に日本の口座へ送金するスタイル。
✅ Wise活用のポイント:
- 少額・多頻度の決済でもWiseなら無駄な手数料がかからない
- 自動化機能を活用して毎月一定額を日本の銀行口座に送金
- 顧客対応はShopifyアプリ+SNS運用で完結
このようなサブスクリプション型ビジネスモデルでも、Wiseは柔軟な資金の流れを構築する上で強い味方になります。
Wise利用の注意点と対策
利用国・対応通貨の確認ポイント
Wise(ワイズ)は160以上の国と50以上の通貨に対応しており、非常に広範囲な国際送金・入金が可能なサービスですが、すべての国・通貨で完全対応しているわけではありません。
例えば、以下のような確認ポイントがあります:
- 一部の国では「送金は可能だが入金はできない」などの制限がある
- 日本円・米ドル・ユーロなど主要通貨はスムーズだが、新興国通貨はレートが不安定な場合がある
- 特定国(例:北朝鮮、イランなど制裁対象国)への送金は不可
Wise公式サイトの対応通貨ページで必ず事前に確認しましょう。 ShopifyやAmazon FBAなど他のサービスと連携する場合も、通貨の対応可否で連携可否が変わるケースがあります。
法人利用時の登録やKYC書類について
法人(法人格を持つ事業者)としてWiseを利用する場合は、個人アカウントとは異なる審査・登録プロセスが必要になります。特にKYC(本人確認)手続きでは、以下のような書類が求められることがあります:
- 登記簿謄本(会社法人等番号の記載があるもの)
- 代表者の本人確認書類(パスポートまたは運転免許証)
- 事業内容の確認書類(Webサイトや契約書など)
また、法人アカウントでは、複数通貨口座(マルチカレンシー口座)をビジネス利用目的で開設できるのが大きなメリットです。ただし、登録の際には法人用の事業メールアドレスを使うことや、事業内容の説明を明確にすることがスムーズな審査の鍵となります。
為替変動リスクを抑える方法
Wiseではリアルタイム為替レートが適用されるため、銀行送金に比べて透明性が高く、コストも低く抑えられる点が魅力です。しかし一方で、以下のような為替変動リスクは事業上の懸念材料です。
対策方法としては以下の通り:
- 売上の通貨で資金を受け取る:現地通貨でそのままWise口座に保持し、円転のタイミングを調整
- 為替通知機能を活用:Wiseアプリやダッシュボードで為替アラートを設定可能
- 必要以上に頻繁な換金を避ける:為替が不安定な期間は残高保持することで損失を抑制できる
特に円安や円高が進行しているタイミングでは、1取引あたり数%の違いが利益に直結するため、意識的な管理が必要です。
Wiseは利便性の高い国際送金サービスですが、上記のようなポイントを押さえておくことで、越境ECにおけるリスクを最小限に抑え、より安全かつ効率的に運用することが可能です。次章では、よくある質問とその回答を紹介します。
よくある質問(FAQ)
Q. Wiseは法人アカウントでも使える?
はい、Wiseは法人名義での利用にも対応しています。法人アカウントを作成することで、取引先への送金やShopify売上の受け取り、経費管理などが効率的に行えます。
法人アカウント開設時には、登記簿謄本や代表者の本人確認書類などが必要となります。KYC(本人確認)プロセスも比較的スムーズで、多くの企業が導入しています。
Q. Shopifyと直接連携できる?
Shopifyとは公式連携アプリは存在しませんが、Wiseのマルチカレンシー口座を活用することで、売上の受け取りや送金の効率化が可能です。例えば、Shopify Paymentsで外貨決済された資金をWiseの外貨口座で受け取り、為替手数料を抑えて日本円に換金できます。
また、PayoneerやStripe経由での入金をWiseで受ける方法も選択肢として有効です。
Q. 海外のお客様からの支払いにも使える?
Wise自体はエンドユーザー向けの決済ゲートウェイではありませんが、Shopify上でStripeやPayPalなどと組み合わせることで実質的に可能です。
海外のお客様からの支払いは、Shopify Payments(Stripe)やPayPalで受け取り、Wiseの外貨口座に振り込ませることで、低コスト・スピーディーな資金移動が実現します。
Q. 日本円への換金タイミングは?
Wiseでは、ユーザーが任意のタイミングで日本円への両替・送金が可能です。為替レートを見ながら、最適なタイミングで換金できるのが大きなメリットです。
また、両替の前にWiseのリアルタイムレートで見積もりを確認できるため、想定外のコストが発生しにくい仕組みとなっています。
Q. PayPalや銀行振込との違いは?
PayPalと比較すると、Wiseは為替手数料が圧倒的に低く、送金速度が速いのが特徴です。銀行振込と比べても、中継銀行手数料や着金遅延の心配がないため、越境ECにおいては非常に相性が良いと言えます。
一方で、決済機能そのものはPayPalの方が優れているため、PayPal+Wiseの組み合わせが多くのEC事業者に好まれています。
まとめ|Wiseで始める効率的な海外販売
越境ECの成功には、スムーズで低コストな資金管理が不可欠です。海外との取引では「為替手数料」「着金遅延」「高額な銀行送金コスト」といった課題がつきまといますが、Wiseを活用することでその多くを解決できます。
Wiseは、複数通貨での受け取り・送金が簡単かつ明瞭な手数料でできる次世代の送金サービス。Shopifyとの併用により、売上の受け取りから国内への換金までを効率的かつ安心して管理できます。
また、法人・個人問わず利用でき、導入もスピーディー。実際に多くの中小EC事業者がWiseを活用してアジア・欧米圏での販路拡大や資金効率化に成功しています。
これから海外販売を始めたい方、すでに越境ECを運営していて資金まわりに課題を感じている方は、ぜひWiseの活用を検討してみてください。Wiseを導入することで、海外ビジネスが一気に現実的なものになります。